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心は歌の翼に乗せて
エルミタージュ (リンクスロマンス)
エルミタージュ (リンクスロマンス)
華藤 えれな
JUGEMテーマ:モブログ


華藤えれなさんの異国情緒シリーズ第4弾です。

正直スレイヴァーズの続きが待ち遠しくもあるのですが、エキゾチックロマンスも相変わらず切なく叙情的で美しかった〜♪(*´▽`*)

マスカレードは別として、アルゼンチン、上海、ロシアとどこも叙情的でマイナーな旋律の民族音楽を特徴とする国ですよね。
そしてそれは同じ特徴をもつ曲調を愛する私たち日本人にはどこか郷愁を誘う、心に沁みる音楽であることが言えると思います。

今回はその音楽が重要なキーワードになっていますが、最初はタイトルが「エルミタージュ」だし、美術館を舞台にした絵描きの卵と学芸員の話かと思っていたよ・・・。

リンクスロマンス 華藤えれな 「エルミタージュ」

声楽を学ぶため、モスクワを訪れている留学生の相澤和沙は、歌うことの重圧から、声楽家としての将来に行き詰まりを感じていた。
そんなある日、想いを寄せる音楽教師・セルゲイの亡命に協力したとして、和沙はスパイ容疑でKGBに囚われてしまう。
怜悧な眸をしたKGBの中佐・マクシムに厳しく尋問されるが、沈黙し続けた和沙は、屈辱的な拷問を受けることに。
それは官能的な美貌ゆえ、セルゲイとの肉体関係を疑うマクシムによる激しい凌辱で――。

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いきなり冒頭からの陵辱シーンを読んだときには、ちょっとこれは自分的には地雷設定だったか!?と一瞬腰がひけたのですが、えれなさんの作品っていい意味で生々しさが希薄なんですよね。
現実から一歩引いて芝居がかってるというか。
私はそこが好きだったりなんかしますが、中にはそれが苦手とおっしゃる向きもありそうな〜。

ともかく大きなストーリィの流れの中での必然性のある行為だったので私がいつも軍服モノだとかに感じてしまう「なぜそこでエロ!?」という疑問符が頭を飛び交うこともなく話に入れたのはよかったですけど・・・まあそれは流れを追ったから納得できたという形なので、えれなさんなら掴みにこのシーンを持ってこなくてもよかったんじゃ?とは思いますけどね。

このシリーズに特徴的なのは、主人公が故国での鬱屈を抱えて異国の地へと飛び出してきた、或いは逃れてきたという点ですよね。

和沙は有名なイタリア人オペラ歌手とミラノに留学していた日本人の母との間にできた子供ですが、オペラ歌手には妻子があったため母は魔性とののしられ、和沙も認知されてはいません。
そして自分たちの存在を認めなかった周りの人間を見返すために、父を超える声楽家になるよう母に教育を受けた和沙はやがて歌うことが苦痛になり、偉大な父や義兄への劣等感に押しつぶされていきます。

それを救ってくれたのがロシア人テノールのセルゲイで、たびたびのモスクワへの短期留学を通じて彼の歌に心酔し、歌手以外の道もあることを示されて和沙は解放されたような気持ちになっていきます。
それと同時にセルゲイのようなすばらしい歌手がソヴィエトという国に囚われて自由に歌うことができないことを悲しみ、セルゲイと彼の恋人であるリフの亡命を密かに手伝っていました。

ところがKGBに亡命計画がばれたことに気づき、日本人の和沙なら国外退去くらいで済むからと時間稼ぎのための囮になるのですが、ずっと和沙の行動を尾行していたKGBに捕えられ、取調べを受けることに。

ここで登場するのが金髪にシアンブルーの瞳を持つ典型的なスラブ民族の中佐です。

もう、もうこの人が真面目で堅物で禁欲的でたまらんっ!!
金髪碧眼には興味のない私ですが、この手のちょっと不器用な生き方をしている男には一も二もなくヤラレてしまいます。

最初は和沙のことは平和ボケした綺麗なだけのバカなガキだと思っているんですが、きつい尋問や拷問にも負けず、己の守りたいもののために絶対に屈しないその姿を見て、セルゲイに向ける一途な想いを不思議に思いながらもそこまでつよく人を思える和沙の心の強さに惹かれていきます。

中佐にはやはりスパイに騙されて殺された黒髪に黒い瞳の義妹がいて、彼女も声楽を勉強していたことからも現在の和沙の姿がだぶり、利用されて命を落としかねないのが歯痒いんでしょうね。

しかもモスクワに短期留学に来る和沙を尾行しているうちに彼の声楽家としての才能を見抜いてもいるのですが当の本人は劣等感に苛まれ、自分の夢の実現をセルゲイに転化することで己の真価すら封印してしまっています。

中佐はそんな和沙に向かって「お前には才能がある」「歌い続けろ」と言うのです。
人を人とも思わないような組織の中にあって、和沙のことも囚人と呼びながら中佐は彼個人にちゃんと向き合い、駆け引きや甘言などではなく心から和沙の才能を称賛し、彼を歌わせたいと思っているのですね。

極限の状態の中で何度も体を繋ぎ、心理的に近しい錯覚もあるのかもしれませんが、中佐がだんだん和沙自身への想いを深めていくにつれ和沙の心も変化を見せ始めます。

セルゲイに利用されたであろうことは自分でも薄々気付いてはいて、それでも彼を庇い続けるのは彼を愛する自分でいたいから。
それはやはり殉教に近い心理なのかもしれません。
しかし中佐がそんな頑なな自分の心ごと守ろうとしてくれていることに気付き、和沙もまた中佐に惹かれていきます。

やがてセルゲイも捕らえられますが、結局は和沙本人も知らぬまま恐ろしいテロ計画に加担していたことが発覚し、このままではセルゲイたちの罪を着せられたまま和沙は処刑、黒幕を捕らえることもできなくなると悟った中佐は死んだことにしてセルゲイを解放し、和沙も国外退去させる決心をします。
その上で自分は黒幕と差し違える覚悟をするのですが、和沙本人も自分が受け渡しをしていた暗号の秘密に気付き、中佐を死なせないために罪を認めてしまいます。

有罪となってシベリア送りにされるハズだった和沙を中佐はベルリンへと運び命懸けで西側へと逃がすのですが、和沙が病院で目を覚ましたその日、ベルリンの壁は崩壊し、ソヴィエト連邦解体。

名も知らぬまま別れた中佐と再び出会うために和沙は世界的な歌手になることを決意します。

その後二人の再会までに6年の月日を要するのですが、ドラマティックで感動的でした〜!

実は最初タイトルを

「Love set me free,like a bird in the Sky.」

にしようかと思ったのですが長すぎるのでやめました。
引用は私の愛するあの方たちの歌詞の一節から。
(アジア人初のロックの殿堂入りおめでとうございます♪)

奇しくも、彼らのデビューとベルリンの壁崩壊は一年しか違わないのですよね〜。

インタビューでIなばさんは「僕らがデビューした20年前には思いも寄らなかった」とおっしゃってましたが、その一年後にベルリンの壁が崩壊することだって誰が予想したでしょう?
音楽は国境を越えるのだ!
愛は翼を得て自由の空へと羽ばたくのですよ!

KGBの将校とスパイ容疑をかけられた囚人という立場で出会い、惹かれ会って、名も知れず安否すら確かめられない状態から再会し、やっと恋人として互いの名を呼び会えた二人。希求の想いが切ないです。

文中のオペラやロシア民謡を歌うシーンや歌詞などの引用もとても印象的で、えれなさんの小説ってホントに美しいですよね〜。
ドラマティックラブ、思う存分堪能いたしました♪


…とここで締めたいところですが、どーしても気になる部分に一つツッコミを(笑)
作品の余韻に浸りたい方は読み飛ばしてくださって構いませんので〜。

作品中の暗号トリックについてなんですけどね〜、いくらなんでも音楽で身をたてようという和沙がイタリア音階からドイツ音階への置き換えにあそこまで気付かないなんてことがありえるのだろうか…。
いや、声楽には全く詳しくないから断言はできませんが、オペラやるならドイツのオペラもやりますよね?普通に使うと思うんだけど、ドイツ音階…。
まあ好意的に解釈すればオケや吹奏楽ほど必須ではないかもしれないので、和沙に馴染みがなかった…のかもね(笑)

ちなみにオケや吹奏楽に必須なのは例えば指揮者が「ドの音出して」と言っても楽器によってドの音の基準が違うからです。
ド〜♪って出してる音の高さがドだったりレだったりソだったりするのでドイツ音階が必要なのですよ♪

ドイツ音階はアルファベット表記なので「Cの音出して」と言われればとりあえずオケ全体が同じCの高さの音を出すわけですね。

以上、うんちく終わりっ♪(≧∀≦)
ゆちゅらぶ♪ | 華藤えれな | comments(8) | trackbacks(3) |
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Comment
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私もタイトルだけ聞いたときは美術館のエルミタージュかと思いました(笑)。

敵として出会った、名前も知らない相手との6年越しの愛…なんともドラマチックで、ロマン派腐女子にはたまりませんw

が、やっぱり突っ込みどころありますよね(笑)。
私は正直、「なぜそこでエロ!?」感がぬぐえませんでした。
BLだから♪で済ませてもいいんですけどね、BLですから(笑)。
それに、あれだけ長期間拘束されて過酷な状況に置かれて、喉を無事に保つことができたんだろうかとも思ってしまうんですよ。

でも、ゆちゅさんがおっしゃったとおり、華籐さんの小説は美しいですよね。
どの話も、必ずどこかに印象に残るシーンや情景描写があって、それがあまりにぐっときてしまうから、細かいところには目をつぶってしまいます。
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(..)φ くろみみ
2007/11/22 2:00 AM

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おはようございます!ゆちゅ♪さん。
私もこの作品はとても気に入ってます♪
華藤さんの文章世界はやはり一筋縄ではいかないというか、突っ込みどころはあれど基本的に魅了されすぎて、瑣末な事はどうでもよくなってきますねー。
和沙はなかなか頑なに歌わなかったので、ソレが歌いだした途端余計に本当に天地に響き渡るナニかを錯覚してしまいました!
上海〜は結局グチグチ言っててまともな感想を放棄してしまった私でしたが、この作品は問答無用で惹き付けられましたねー♪

オケ&吹奏楽のお話も大変興味深かったです!
私はCだのDだのはコード(伴奏・和音)では重要で、特に曲を即興演奏する場合にコード進行というものが重要な基本だったので、ある程度は音楽教室で学んだのですが、旋律(メロディ)に関してはやはりドレミ音階でしたからね〜。
でも、和沙でも内容が分かってしまう暗号ってどうよ?と思わなくも無いのですが(笑)。

ではでは!TBも頂きましたのでよろしくです。
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(..)φ tatsuki
2007/11/22 6:35 AM

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くろみみさん おはようございます♪

エルミタージュが「隠れ家」の意味だってこととかこのタイトルの理由とかを書くつもりだったことをすっかり忘れてました…けどもういいや、出遅れだし(T∇T)

エロに関しては掴みはビビりましたけど、中佐はなかなか手を出さなかったしそこに至るまでの和沙に対する苛立ちとか感情の傾きとかがあったのでけっこう納得しちゃったんですが、やはりあくまでBL的解釈に基づいての理解ですね〜。
一般レベルの話なら「なぜそこでエロ!?」あはは〜(笑)

でもエロシーンにしろ拷問にしろリアリティから少し離れたところにあるのがえれなさんの小説の美しいところだと思うので、やはり細かいツッコミなしの方向で!(笑)

そして私もくろみみさんに倣ってこれからはロマン派腐女子を名乗ることにいたします♪
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(..)φ ゆちゅらぶ♪
2007/11/22 7:38 AM

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tatsukiさん こんにちは♪

私も上海ではイマイチ消化不良気味だったのですが、ロシア編はスパシーバでした!(笑)
サウダージの次に好きだ〜(*´▽`*)

こんな平和ボケ音大生がKGBの尋問にマジで半年耐えられるのかとか、こんな心根の純粋な人がKGBで中佐にまで出世できたのかとか、そんな瑣末は脇に追いやってえれなさんの描く美しく冷たいロシアの空気を満喫したいものですよね♪

あ、オケや吹奏楽においてのドイツ音階、めちゃめちゃ自己満足のうんちくだったので反応していただけて恐縮です(笑)
やはり一人で主役をやることが多い楽器の場合はあまり馴染みがないんでしょうね〜。

コメント&TBありがとうございました♪
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(..)φ ゆちゅらぶ♪
2007/11/22 8:04 PM

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ゆちゅ♪さん、こんばんは。

確かにエルミタージュ…私も学芸員の話だと思って読んでましたよ。

しかし文章には惹きつけられたのですが、突っ込みどころも(笑)
ゆちゅさんのドイツ音階の話、確かに…と思いました。
でも全ていいの、面白かったからwwってカンジですね。
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(..)φ 真琴
2007/11/23 12:26 AM

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ゆちゅさん、こんばんは!

よし!私もロマン腐女子を名乗ろう(どこがや!)。えれなさんのお話はロマンティックで、雰囲気がとても好きです。細かい突っ込みどころはあれど(おい)、読み終えるとえれなさんの世界観にすっかり魅了されてしまいます!
新刊が出るといつも「またあの世界に連れて行ってもらえるんだ(特に異国シリーズは日本を出たことのない私には夢の世界で・・・)」って嬉しくなってしまいます。今回も堪能させていただきました!

私は音楽は聴くのは大好きですが、自分がするのは全くだめなので(何も弾けないし、楽譜も読めない)、ゆちゅさんのうんちくはなるほどな〜って関心です!

次のお話は久々日本が舞台のようですね。

TBお願いします(^^)



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(..)φ miku
2007/11/23 1:02 AM

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真琴さん こんばんは!
遅レスすみません(>_<)

美術館の話でなかったのは意表をつかれた感じですが、読了してみればなるほどというタイトルでしたよね!

いや、言ってしまえば毎回何かにつけツッコミ入れてる気はしますが(笑)これほど文章を読みながら異国の空気や匂いを体感できる小説家さんも稀ですよね〜。
雰囲気に浸って楽しいひと時を過ごせるだけでかなり満足です♪(*´▽`*)
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(..)φ ゆちゅらぶ♪
2007/11/24 9:13 PM

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mikuさん こんばんは♪
遅くなりまして〜(T∇T)

えれなさん、次は日本の話ですか?柊一さまとは関係なく?
いや、それはそれで…花シリーズとかも好きですし。
異国情緒であれ日本叙情であれ美しい世界観にしばしうっとりしちゃいますよね(*´▽`*)

サウダージでの二人は刹那を積み重ねて共にいるような危うさのある関係でしたが、この二人は離れ離れでいながら信じ合い、心が寄り添っている感じで境遇や出会い方が似てるのにまるで違う関係を築いてるんですよね〜。
あれ、比べるのおかしいかな?でもどっちも甘いカップルだとは思うんですが!

なんにせよ次回作はいつも待ち遠しいです♪
コメント&TBありがとうございました〜!
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(..)φ ゆちゅらぶ♪
2007/11/24 10:32 PM

It comments.









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