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夢から醒めた夢
おきざりの天使 (SHY NOVELS191) (SHY NOVELS)
おきざりの天使 (SHY NOVELS191) (SHY NOVELS)
夜光 花

ちなみに下書きにつけた仮タイトルはtatsukiさんにあやかって「おにぎり」だったんですけどね…。
そんなほのぼのとした語感をふっとばし、私を木原さんの「WELL」以来の恐怖に震えあがらせた本がこちら。

パニックものとゆーより秋の夜長に心胆寒からしめる密室ホラーでしたよ…(-_-ι)

SHYノベルス 夜光花 「おきざりの天使」


「俺、やっとわかった。お前が好きなんだ」

17歳の高校生・嶋中圭一は、毎朝、従兄弟の徹平とともに登校する。
最近はクラスメイトで生徒会長の高坂則和と電車で一緒になることも多かった。
その朝も、圭一はいつものように高坂と一緒になった。
ただ、一週間前のある出来事以来、圭一は高坂のことを強く意識するようになっていた。
密着する身体をこのままでいたいと想ったり、離れたいと願ったり…だが、平穏なはずの一日は不穏な何かに包まれ!?

挿絵の門地さんがね、「焦る感じで面白くって、エロも切羽つまってエロかったー!そして最終的に受はスケベだな…!って感想もつよ〜。」とコメントしてらっしゃいますが、うん、そのまんまです(笑)

つか、このあらすじ読んで誰がホラーだと思うんだ!
ホラーならホラーって書いといてよ!マジ苦手なんすよ…(T∇T)

どうしようもなくネタバレな感想は続きをどうぞ〜。

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圭一は8歳の頃に両親に無理心中を計られたんですが、渡された薬を飲まなかったために一人生き残り、冷たくなった父と母の亡骸に挟まれて横たわっていた過去があります。
そのせいでトラウマが残り、他人と同じ部屋で眠るのが怖いのです。
静かに眠るひとをみると二度と起きてこない両親に置き去りにされた過去が甦るから…。

その後やさしい叔父叔母に引き取られ従兄弟の徹平とも分け隔てなく育てられましたが、いつでも遠慮しながら生活し「自分が幸せになること」を無意識に否定しているようなところがあります。

そんな圭一でしたが徹平に誘われて入った水泳部で一緒になった高坂とある事件をきっかけに親しくなり、やがて生徒会で会長、副会長をともに務めるように。
徐々に親密さを深めていきます。

ある日一緒に見ていたAVをきっかけに圭一と高坂はお互いの欲望を慰めあってしまい、高坂は圭一を好きだと言い出すのですが返事ができないまま一週間後。

ネットで大地震に纏わる不穏な噂が流れる中、本当に起きた地震を境に圭一は日常から非日常へと否応なしにスライドしてしまった自分に気づかされていきます。

地震で崩壊した生徒会室、見た目にはなにも変わらないのに常に付き纏う違和感。
最初はTVやラジオといった外界の情報を得るための手段が失われ、携帯や電話が校外に繋がらないことが判明。

外の様子を見に行った教師たちが校門を出た途端、声も無く倒れ動かなくなります。
為す術もなく校舎に戻った圭一たちですが、次に校庭で体育を行っていた生徒たちが折り重なり動かなくなっている恐ろしい光景を目撃し、校内に残った者たちはパニックに陥ります。
様子を見に外へ飛び出そうとした人間が校舎を出た途端倒れ、そこでまた折り重なる。
原因のわからない恐怖の中狂気に捕われる者も現れ、圭一たちも崩壊しそうな自我を支えあうようにお互いに手を伸ばし高坂と気持ちを確かめ合います。

そして不安と恐怖を紛らわすように激しく抱き合った翌日、カーテンを開けて校庭や昇降口に倒れていた死体(?)が跡形もなく消えていることに愕然。

その事態に極限状態にあったクラスメイトが圭一の目の前で外へ飛び出して行きますが、止めることも出来ず彼女は新たな犠牲者に。

やがてデッドゾーンが校舎内にまで及びはじめ、閉じ込められていた生徒たちはいつ訪れるかも分からぬ死をただ待つ恐怖に耐え切れず屋上から飛び降り命を絶つものも現れる。

圭一は壊れそうな自分を支えて欲しくて高坂に縋り、二人は人目を気にしながらも階段の踊り場で性急に身体を繋げます。

その後も時間の経過に従いデッドの部屋は増えていき、次第に追い詰められていく圭一たちですが徹平はこの恐怖が誰によって作り上げられたものか気付き、そして…。


いいですか?私ちゃんとネタバレしますって言いましたよ?(笑)

この話は圭一視点の三人称で進められていきますが、普通人が有り得ない恐怖に晒された時に一度くらいは考えるんじゃないの?って一文がどこにも見当たらないんですよね。

「夢なら醒めて欲しい」

姿なき恐怖、消える死体、増えてゆく死のエリア、泣きながら命を絶つ級友たち…こんな為す術もない恐怖を目の当たりにしたら「こんなこと有り得ない」「これは夢だ」ってちょっとくらいは思いませんか?

でも圭一にはそれがない。
何か行動を起こすとき嫌な予感に襲われ高坂を引き留めたりしますが、それはそこで起きる惨劇を知っているから。

もう予想はつくと思いますが、この悪夢は圭一のインナースペースです。
彼は自分が作り上げた恐怖の世界の中でぐるぐると同じ体験を繰り返し、自分の時間を止めているのです。
つまり彼はこの夢が夢であることを意識下では知っていて、しかもこの夢から醒めたいと思っていないのです。

物語の真相は学校に乱入してきた武装集団が立て篭もり事件を起こし、事件そのものは既に死者を出すこともなく解決しているのですが圭一の目の前で高坂が切り付けられて負傷したことが発端でした。

その衝撃で過去のトラウマを刺激され、精神の均衡を崩しかけていたところで依り処である高坂と引き離されたためパニックを起こして過去に経験した置き去りの恐怖から逃れるためインナースペースという悪夢の中をさ迷うことに。

学校というのは元々閉じられた世界ですが、そこを舞台にしたインナースペースの中で繰り返される惨劇というのが水城さんの「放課後保健室」っぽいなーとちょっと思ったり。

でもほーほけより格段に怖いのは襲い来る恐怖が目に見えないところなんですよね。
そして対抗することも逃れることもできず追い詰められていく。
読みながらの心理的圧迫がすごいです。

そしてその恐怖にみんなが訳もわからずパニックに陥っている時に(自分でも気付かないまま)理由を知っている人が混じっているという状態は非常に気持ち悪いんです。
最初から圭一が物語のキーだと言うのは読者にはわかっている。
そして夜光さんが今までで一番ダークだとおっしゃるのはこの圭一の内面だろうと思います。

最後のネタばらしで結局は全て圭一の見ていた夢の中の出来事だということがわかりますが、私は少しもホッとできず、むしろ戦慄しました…。

「でも俺は悪夢の中で幸せだった…。夢を見ているほうが楽だったんだ」

最後の圭一のセリフです。
彼の心の傷の深さ、背負った闇が恐ろしい。
普通の人間がまともでいられない程の恐怖に満ちた世界を現実よりも望んでしまう心、夢の中で共に育った従兄弟を手にかけてまで高坂と二人鍵をかけて小さな世界に閉じこもってしまいたいと願う執着。

圭一の持つ計り知れない負の要素に読み終わったあとも動悸が治まらず改めて自分のヘタレっぷりを痛感。怖かったよー(T∇T)

多分、本人が言ってる通り圭一にとっては全ての邪魔者を廃除して高坂を自分だけのものにできた悪夢の中が一番幸せなのかも。

あれだけ精神的な深手を負い、高坂に異常な執着を持つ圭一はこれから現実社会では地獄をみるでしょうね。

高坂が圭一の望むように側にいていつか癒し、解放できるかどうかはわかりません。
そもそもどこからが圭一の悪夢だったのかな。
現実の圭一は冷たい両親の間でまだ夢をみているのかもよ…?


パラレルワールドとインナースペースについて思いを巡らせ始めると己の存在まで疑わしくなってきてしまうのでこのあたりで。

「夢オチです」と軽く言ってしまえば身も蓋も無いけど、精神的にはかなり負担が軽くなりますね(笑)

私は今回あまりに怖くて正直エロを堪能する余裕がなかったのですが、さすが夜光さん、なにはなくともエロはガッツリ。
朧げにもクオリティの高いエロさだったよーな気がしますよ?(笑)

でもこれホントは圭一の見てる夢なんだよね…てことは。
うふふ、圭一ったらス・ケ・ベ♪(≧∀≦)

願わくば現実の高坂もこれくらい頑張って、圭一を失望させることがありませんように!( ̄ー ̄)★
ゆちゅらぶ♪ | 夜光花 | comments(4) | trackbacks(2) |
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Comment
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ゆちゅ♪さん、こんにちは〜

怖かったですねぇ。ダークだと分かってはいたんですが…。
私は自信がなくて曖昧な感想を書いてしまったんですが、ゆちゅさんの感想を読んで、やっぱりラストのセリフはそっちの意味なのかなと思いました。
圭一…。
相当抱え込んでいるものが大きそうです。
高坂はこの先大変だと思いますが、心の傷を癒してあげてほしいなぁと思います。
そんな二人の話も読んでみたいです。
相当重いと思いますが…。

ゆちゅさんの感想、とても興味深く読ませていただきました。
>「夢なら醒めて欲しい」
確かに、普通ならあるべきそのセリフがなかったなぁと、今頃気がつきましたし。
もう一度読み返したくなりました。

TBさせていただきますね!
ではでは。
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(..)φ にゃんこ
2007/10/10 2:37 PM

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にゃんこさん こんにちは♪

確かにラストはかなり曖昧な感じで読み手によってどうともとれますよね!
私のはヘタレなあまり深読みしすぎかとも思う…。
しかし夢の中で教師や級友たちを廃除し、徹平は手にかけることすらしてしまった圭一はそこらあたりでも罪の意識を抱え込んでしまいそうですしね(TωT)

ホントに高坂には頑張って欲しいですよね!
エロ魔人(←にゃんこさんコレすごい言い方…笑)ですからカラダも満足させてあげないといけないし、大変ですね♪(≧∀≦)

コメント&TBありがとうございました!
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(..)φ ゆちゅらぶ♪
2007/10/10 3:37 PM

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ゆちゅ♪さん、こんばんは!

夜光さんの作品の中で一番ダークな作品、だったはずなのですが、この作品を読む前にトンデモな作品を読んでしまったせいで、怖さが薄れてしまいました。(苦笑)

よって、作品の怖さをお伝えしきれていない感想になってしまったのですが、ゆちゅ♪さんの感想はきっちりと作品のツボが抑えられているので、興味深く拝見させて頂きました!

>つまり彼はこの夢が夢であることを意識下では知っていて、しかもこの夢から醒めたいと思っていないのです。

自分の作り出したものに感化してしまうのって、考えると確かに怖いですね。現実と空想との狭間を漂っている内に、境界線が曖昧になってしまう。曖昧になった事で、今度は全ての目に見えるもの、体験しているものの境界線も曖昧になり、更に混乱は増しますし。

あのまま「夢」から醒めないままだと、更に恐ろしい展開になっていたかも知れませんから、あそこで圭一が目を覚ましてくれて良かったです。(苦笑)

ではでは、遅くなりましたがTBさせて下さいね!
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(..)φ ハスイ
2007/10/17 7:21 PM

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ハスイさん こんばんは〜♪

私ホラーはホントにホントに苦手で怖いとか痛いとかダメなヘタレ野郎なので、必要以上に怯えた感想になってしまっております…。
ハスイさんはこの本の前にトンデモを読まれたそうですが、私はこの恐怖感を頭から追いやるために木原さんのハゲパン読んで癒されました(*´▽`*)

ともあれ、夢に囚われたままで終わらずによかったと言えますがこの作品においての現実の高坂のキャラクターって実はあまり描かれてないですよね…。
夢の中の圭一に都合のいい高坂にしたのと同じだけ現実の高坂を頼りにできるものなのかと思っちゃったりして…黒っ!(笑)
作品のダークさに引きずられてかなり思考が黒っぽくなっちゃいますよ(T∇T)

コメント&TBありがとうございました!
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(..)φ ゆちゅらぶ♪
2007/10/18 7:58 PM

It comments.









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